【初心者向け】営業DXとは何か?具体例や推進のポイントを紹介
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IT技術の発展により、社会が変化する速度が速まっています。
社会や顧客のニーズを把握するために、DXに力を入れている企業も多いのではないでしょうか。
DXの中でも最近注目されているのが「営業DX」です。
この記事では、営業DXとは何か、営業DXの具体例などを解説します。
この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。
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目次
営業DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
ここでは、DXや営業DXとは何かを解説します。
そもそもDXとはなに?
DXとはデジタルトランスフォーメーションのことです。
DXの定義は「データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとにビジネスモデルに変革を起こす」となっています。
ビジネスの現場でDXが注目されているのは、コロナ禍によるリモートワークの浸透や働き方改革により、DXの必要性が高まっているためです。
DXと混同されがちなのが「業務のデジタル化」です。
例えば、これまで紙ベースで自社製品をPRしていたのを、タブレット端末などに資料を入れてデータでPRするのは業務のデジタル化です。
単にデジタル化するだけでは、ビジネスモデルに変革が起きていないためDXとはなりません。
ただし、DXの定義は明確に定まっているわけではありません。
そのため、DXと業務のデジタル化の線引きも曖昧なところがあります。
https://note.com/somo_fintech/n/n8ad0c40c3c2c
営業DXとは
DXの中で、営業活動に関する仕事のやり方に変革を起こすのが営業DXです。
営業DXではIT技術を活用して、営業のアプローチ方法や営業部の組織の体制を変化させます。
DXとは組織全体に変革を起こすのではなく、営業部門だけなど部門ごとに取り組むこともできます。
営業DXが求められている理由
続いては、なぜ営業DXが求められているのかについて解説します。
コロナ禍による価値観の変化
長期化するコロナ禍により、オンラインによる非対面で顧客に対応する企業が増えました。
例えば、薬剤師の「オンライン服薬」や不動産業界の「オンライン内見」などがあります。
営業活動でも直接訪問しての打ち合わせは避けられる傾向にあり、Web会議システムを用いた打ち合わせが急速に浸透しています。
コロナ禍による影響は、顧客の購買行動にも変化を及ぼしています。
これまでは営業活動によるPRを受けて必要な備品を購入していましたが、コロナ禍以降はECサイトの利用が増加傾向にあります。
コロナ禍により社会が変化しているので、顧客のニーズを素早く汲み取り対応することが重要です。素早く対応できた企業は、市場で優位な立場になるので営業DXの推進が求められています。
生産性の向上
日本では人口減少に伴い、労働人口も減っていきます。経済産業省の統計によると2050年に日本の人口は9515万人まで減少する見込みです。
また、日本は労働生産性が主要先進国の中で、最下位となっています。労働生産性とは、労働者一人当たりが生み出した成果のことです。
労働生産性が低い日本で人口減少が起きれば、日本全体が生み出す価値が急減して国力を保てなくなります。
しかし、現在は効率的とは言えない仕事をしている企業が多いです。日本の労働生産性が低い原因としては、以下の2点が挙げられます。
- 残業ありきで働いているから長時間労働になる
- 時間当たりの報酬体系のため効率よく短時間で仕事を終わらせる必要がない
このように、日本の働き方は労働生産性を上げるための考え方とは異なります。
そのため、マーケティングオートメーションツールを導入するなどして、営業DXを推進し、労働生産性を向上する必要があります。
営業DXを推進する際のポイント
ここでは、自社に営業DXを取り入れるためのポイントについて解説します。
目的を明確化する
目的を明確化する営業DXが失敗する企業は、「仕事の効率が良くなりそうだから」や「取引先も営業DXに取り組んでいるから」など、曖昧な理由でスタートしてしまいます。しかし、営業DXを推進するためには、目的を明確化することが大切です。
目的を明確化するためには、なるべく具体的に数値を設定しましょう。
例えば、営業活動の移動時間に時間を取られているとしたら、「移動時間を3割削減するために、週に2回はWeb会議システムを利用した打ち合わせを行う。Web会議での打ち合わせを支援するために販売資料作成チームを立ち上げる。」という形です。
目的を明確化していれば、効果測定が容易になり、その後の改善策も立てやすくなります。営業DXを推進する際は、「なぜ営業DX」を取り入れるのかを考え、具体的な数値で目標を明確化しましょう。
営業DX推進チームを構築する
営業DX推進チームには、DXに関する知識だけでなく営業現場に関する知識も必要になります。具体的には以下のような社員をチームに加えましょう。
・DXに関する知識が豊富な社員
・顧客の動向やニーズ精通している社員
・社内で使用しているシステムに詳しい社員
DXの目的は、顧客や社会のニーズを把握してビジネスモデルに変革を起こすことです。
そのため、DXに詳しい社員だけで推進チームを構築しても、顧客のニーズを把握できません。
営業現場のことを知っている社員を推進チームに加えるようにしましょう。
また、社内でDXに関する知識を持った社員がいないのであれば、外部のコンサルタントを活用する方法もあります。
インサイドセールスを意識する
営業DXを成功させる鍵は、インサイドセールスにあります。
インサイドセールスとは、顧客への訪問をせずにオフィスで行う営業活動です。顧客への訪問をする営業活動は、フィールドセールスと言います。
インサイドセールスは、電話やメール、アプリのLINEやSNSなどを活用して顧客と接触をします。インサイドセールスには、顧客を直接訪問できないときのフォローやアンケートを送信するなどして顧客のニーズを分析できるメリットがあります。
これまでは、遠方の顧客でも訪問して顔を見ることが大切だと考えられてきましたが、営業の最前線では既に古い営業方法となっています。
これからは、必ずしも直接会うことが最善の方法ではなく、顧客の購買プロセスを分析して最適なアプローチをすることが重要です。
しかし、創業から数十年経っている歴史ある会社では、時代の変化に対応できない事例が多くあります。営業DXを推進するには、まず経営者・社員の意識を変えていかなくてはなりません。
営業DXの具体例
最後に営業DXの具体例を紹介します。
オンライン商談
オンライン商談とは、Web会議システムを利用して顧客に商品のPRや商談を行うことです。
これまでも、Web会議システムで社内の拠点との会議に活用している事例は多くありましたが、コロナ禍により顧客との商談もオンライン化する企業が増えています。
オンライン商談のメリットには、以下のようなものがあります。
- 移動コストがかからないので営業エリアを拡大可能
- 商談の記録をデータ化して共有しやすい
- 顧客にとっても手間がかからない
オンライン商談は訪問での商談と変わらない成果が出ている、とする調査結果もあります。
オンライン商談は、ZoomなどのWeb会議システムを導入して、マイクやカメラなどの機材を揃えるだけなので、比較的導入しやすい営業DXです。
また、オンライン商談により削減された時間を他の仕事に使えるので、成果が分かりやすい営業DXとも言えます。
メールマガジンの自動化による見込み顧客の育成
オンライン商談で既存の顧客から注文を獲得することも大切ですが、見込み顧客を顧客に成長させて新規売上を作ることも大切です。
見込み顧客の購買意欲を高めて自社の顧客にする方法を「リードナーチャリング」と言います。
リードナーチャリングの代表的な手法として、メールマガジンがあります。
メールマガジンを定期的に送信して、自社のPRや商品の豆知識などを見込み顧客に伝えて購買意欲を高めます。
メールマガジンは多くの見込み顧客に一度でアプローチできるので、有効なリードナーチャリングの手法です。
ただし、メールマガジンを送るには以下のような手間がかかります。
- 顧客リストの管理
- HTMLメールの作成
- 見込み顧客の購買意欲の段階によるメールの送り分け
- 配信結果の分析
これらを管理するのはかなりのリソースが必要となるので、メールマガジンの配信ツールを利用する企業がほとんどです。
MA(マーケティングオートメーション)ツールで見込み顧客を獲得する
メールマガジンは見込み顧客を顧客に成長させるのに有効な手段ですが、その前に見込み顧客を獲得しなくてはなりません。
これまでは、見込み顧客の獲得はテレアポや飛び込み営業など、効率的とは言えない方法が一般的でした。
しかし、先ほど解説したように労働生産性が低く、人口も減少する日本では今後このような非効率な手法は通用しません。
そこで、営業DXを推進するのであれば、MA(マーケティングオートメーション)ツールがおすすめです。
MAツールとは、新規顧客を獲得するための活動を自動化するためのツールです。また、新規獲得だけでなく、見込み顧客の育成や商談の獲得までを自動化できるサービスもあります。
MAツールの主な機能には、以下のようなものがあります。
- ランディングページ作成機能を利用して見込み顧客の獲得
- 見込み顧客の管理
- 見込み顧客へのメール配信、分析
- 自社サイトでのページ遷移の分析
展示会やWebフォームからの問い合わせなどで見込み顧客を獲得しても、どのようにアプローチしたらいいのか分からず、結局放置してしまうことがあります。
MAツールで見込み顧客を管理すれば、段階に合わせたアプローチが可能です。また、多くの作業を自動化できるので、作業の効率化もできます。
まとめ
営業DXとはIT技術などを活用して、顧客や社会のニーズを把握し自社の営業活動に変革を起こすことです。
労働生産性が低く人口が減少していく日本では、これからの経済的成長のために必須の考え方と言えます。
営業DXを推進する際は、目的を明確化して多様な知識を持った社員を推進チームに加えることが大切です。
また、営業DXはインサイドセールスが成功の鍵です。これまでは、顧客を訪問して顔を合わせることが成果に繋がるとされていましたが、既に一昔前の考え方になっています。
時代の変化を敏感に察知して自社の業務を変革し、これからの時代に対応していきましょう。