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M&Aと事業承継の違いとは?合併の重要作業デューデリジェンスについても解説

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M&Aと事業承継の違いとは?合併の重要作業デューデリジェンスについても解説

M&Aと聞くと、大企業や投資家に関係することで、自分には関係ないと思っていないでしょうか。

しかし、経営者の高齢化が進む日本では、経済をスムーズに動かすためにM&Aは重要な手段です。
経営者の方はもちろん、中小企業で働く方にもM&Aに接する機会があるかもしれません。

今回の記事では初心者の方にも分かりやすく、M&Aと事業承継とは何か、M&Aに関する用語の解説をします。

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M&A・事業承継とは

まずは、M&Aと事業承継の関係について解説していきます。

事業継承とは

事業承継とは、会社の運営を次の経営者に引き継ぐことです。会社の事業や資産・負債など経営に関するすべてを引き継ぎます。
日本の会社は99.7%が中小企業ですが、多くの中小企業が次の承継者が見つからずに困っています。
スムーズな事業承継ができないと企業の動きが止まり、顧客がサービスを受けられなくなる・従業員が職を失うなどの弊害が発生します。
経営者の高齢化に伴い事業承継は日本全体の課題となっているため、とても注目されている分野です。

M&Aとは

M&Aは、Merger and Acquisitionsの略です。直訳すると「買収と合併」という意味になります。事業承継という大きなくくりの中の、一つの手法としてM&Aがあります。
買収は、企業が別の企業の株式を取得して経営権を得ることです。合併は2つ以上の企業が1社に統合されることです。
以前はM&Aというと会社の乗っ取りや、投資家が収益を上げるためのマネーゲームと捉えられることがありました。しかし、先ほど説明したように近年では、経営者の高齢化や後継者不足を解決する手段として注目を集めています。

M&Aの件数は2008年のリーマンショック以降、減少していましたが、2011年からは毎年増加しています。
日本の人口減少により市場が縮小しているので、パイの奪い合いが発生したこともM&A増加の要因となっています。パイを奪うためのM&Aは特にスーパーマーケットやコンビニエンスストア業界で顕著です。

M&Aの3つの手法

M&Aは事業承継の手法の一つですが、M&Aのやり方にもいくつかの手法があります。ここでは主な3つの手法について解説します。

TOB(テイク・オーバー・ビット)

TOBは「株式公開買い付け」という意味です。
あらかじめ期間や株数・買い付け価格を示した上で、金融商品取引所を通さずに不特定多数の株主から株式を買い付けます。
取引所を通さないので、市場価格にプレミアムが上乗せされた金額を提示します。取引所経由で株式を買い進めると、株価が急騰して予定よりも高い金額になり予算オーバーしてしまう可能性があるためです。
TOBは企業の買収や子会社を目的として実行されます。総株数の2分の1超を取得すれば子会社化して、経営権を握ることができます。

TOBには下記の2種類があります。

・友好的TOB
買収企業からの同意を得たTOB。近年だとYahoo!JAPANがZOZOを買収したのが友好的TOBです。

・敵対的TOB
買収企業の同意を得ていないTOB。ホワイトナイトやポイズンピルなどの買収対抗策を取られて、TOBに失敗するケースもよくあります。
堀江貴文氏がおこなった、ライブドアによるニッポン放送への買収劇は敵対的TOBです。

MBO(マネジメント・バイアウト)

MBOは、経営陣や従業員が自社の株式や一部の事業を買収して、既存の株主から独立することです。
株式会社を運営していると、自社の株を保有する投資家が経営に関与してきます。有力な投資家が多いほど、投資家の意見に左右されて経営者の思うように会社の運営ができなくなることがあります。
そのため、投資家に影響されない素早い意思決定をするために、経営陣や従業員が自社の株式を購入して会社の主導権を握ります。

経営者や従業員が自社の株式を買い取り、オーナー経営者として独立する手法。
投資家から口を出されることが無くなるのでオーナー経営者の考えが素早く経営に反映され柔軟な運営が可能になる。

株式譲渡

株式譲渡は企業の株式を買い取り、経営権を取得する方法です。
株式を譲渡しても会社はそのまま存続しますので、保有する資産や従業員・取引先やノウハウなどもそのまま引き継がれます。
他のM&Aの手法と比べるとスピーディーに処理を終えられるので、M&Aではもっとも用いられる手法です。

M&Aでもっとも重要な作業、デューデリジェンスとは

M&Aを実施するにあたり、買収価格を決定するために対象企業に対し、財務面や法務面などの調査をおこないます。この作業をデューデリジェンスといいます。価格決定のための大きな判断要因となるので、M&Aの中でもっとも重要な作業といえます。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、一定期間の財務諸表から財政状態や損益推移、今後の予測などの調査がおこなわれます。
また、貸借対照表上には出てこない簿外債務や将来損失になりそうなリスクについても洗い出されます。
経営や会計についての深い知識が必要とされるので、監査法人や公認会計士、税理士などが作業をおこなうことが一般的です。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、買収対象の企業がコンプライアンスを遵守して業務をおこなっているか、将来の訴訟リスクが無いかなどを調査します。
法務デューデリジェンスでは、契約に関する債務・債権、不動産や知的財産などの資産、営業するうえで必要な許認可などの確認をおこないます。
M&Aが完了した後に法令違反が発覚した場合、会社の存続にかかわる事態になりかねません。そのため、法務デューデリジェンスは買収をするかの判断に大きく関わる項目です。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、買収対象の企業の税務状態について、将来発生する税金の支払いやリスクを洗い出すものです。
税金は税法に則り税額を計算して支払いますが、国税庁との見解の相違により税額が変わることがあります。

例えば、2017年にサッポロビールが酒税115億円の返還を求めて国税庁を提訴しました。しかし、サッポロビールの訴えは認められず、結局115億円は返還されず大きな打撃を受けました。
このように税金は大きなリスクとなる可能性があるため、事前に調査をして買収価格にも大きな影響を与えます。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスは、買収企業の事業を把握して将来性・自社とのシナジー効果・事業戦略を立案します。
ここまでに解説したデューデリジェンスは、法務や税務などのリスクを把握することがメインでしたが、ビジネスデューデリジェンスでは今後の経営方針などを検討します。
景気動向により受ける影響・人口構造の変化などにより受ける社会的影響・新技術の普及などにより受ける技術的影響などを把握して、事業計画策定に役立てていきます。

まとめ

経営者の高齢化や後継者不足から事業承継・M&Aの件数は毎年増えている状況です。
企業の経営権が次の世代にスムーズに引き継がれないと、国内の企業数が減り経済にダメージを与えることになります。

今後も事業承継・M&Aの件数は増え続け、みなさんの勤めている企業がM&Aをおこなったり、M&Aの対象となる可能性もあります。
M&Aの知識を身に付けて、日本経済の動向を見守っていきましょう。

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