リーガルテックとは?注目される理由と具体例を紹介
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近年、法律の分野で働き方改革が起こっています。
伝統と規律を重んじる法律の分野での変化は、働き方改革もついにここまで来たかと感じさせます。その変化の一端を担っているのが、「リーガルテック」です。
今回は法律の世界に変化を起こしているリーガルテックについて解説します。
実はリーガルテックはみなさんの身近にあります。法律関係の仕事をしている方以外にも関係する内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。
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リーガルテックとは
リーガルテックとは、法務(リーガル=Legal)と技術(テクノロジー=Technology)を組み合わせた言葉です。
〇〇+テックにはリーガルテックだけでなく、金融のフィンテック、不動産の不動産テック、農業のアグリテックなどがあります。既存の産業とIT技術を組み合わせることにより、多くの分野で新たなサービスが生まれ、業務が効率化されています。
リーガルテックは法律に関する業務とIT技術の組み合わせで、裁判の手続きや契約に関する事務作業の効率化します。リーガルテックは、もともとアメリカで発展してきましたが、日本でも法律に関する業務のIT化が進んでおり、参入する企業が増えています。
リーガルテックが注目される理由
リーガルテックが注目される理由は、これまでの働き方が通用しなくなってきているためです。
法律業界には細かな確認が必要で時間がかかる業務が多くあります。
契約書にミスがあれば巨額の損失を被る可能性がありますし、裁判の手続きはすべて法律通りに進めなくてはなりません。
そのため、関連する法律の確認や書類に不備が無いかなどに時間を取られています。
また、資格制度により守られている業界なので、比較的保守的とされています。作業の進め方はITによる効率化が進まず、紙ベースでのやり取りなど旧態依然とした作業が多いのが現状です。
しかし、近年の働き方改革やリモートワークの普及により、他の業界と同じくこれまでの仕事のやり方が通用しなくなってきました。
その他にも少子化による労働力の減少が懸念されていて、状況を改善するためにリーガルテックが注目されています。
リーガルテック先進国アメリカ
リーガルテックの概念は、2000年代初めにアメリカで生まれました。アメリカの法律業界も日本と同じくIT化が遅れていましたが、リーガルテックが発展するにつれ徐々に浸透してきました。
また、アメリカではM&Aや企業再編、税金などを企業法務専門の弁護士に依頼すると、報酬が高額になっていました。企業は法務にかかる費用を減らすため、海外の法律事務所や国内の安価なサービスへアウトソーシングする傾向が出てきました。
これらの背景がきっかけとなり、法務のコスト削減に商機を見出した企業が、リーガルテックへ進出し始めたのです。
リーガルテックの具体例
リーガルテックをイメージしやすくするために、ここでは具体的なサービス例を紹介します。
電子契約サービス
近年では政策により脱判子の動きが進んでいます。しかし、まだまだ押印が必要な場面は多くあります。
リモートワークをしているのに、契約のために他社を訪問したり、決済のために出社したりなど何のためのリモートワークか分からなくなることもしばしばです。
そのような手間を減らし効率化するのが電子契約サービスです。
電子契約サービスは契約書をアップロードして、インターネット上で電子ファイルに押印・署名が可能です。
電子契約サービスには下記のようなメリットがあります。
・契約手続きの効率化によるスピードアップ
・原本の管理コスト削減
・原本紛失防止
・印刷代・郵送料などの経費削減
日本でも普及が進んでいるので、身近なリーガルテックの代表例と言えます。
*電子契約サービスの図解
契約書レビュー(審査)サービス
契約書は契約の内容を把握して、法律的に問題がないか、潜在するリスクがないかなどをチェックする必要があります。
これまで契約書のチェックは担当者の法的知識や経験に基づいており、多くの人的リソースを消費していました。
リーガルテックによる契約書レビューサービスは、AIが契約書に潜在するリスクを自動で抽出します。中小企業ではそれほど多くない契約書のチェックに、法務部を設置するのに無理があります。そのため、月数万円から利用できる契約書レビューサービスは重宝されています。
また、大企業では毎日何十・何百枚もの契約書のチェック業務が発生するので、契約書レビューサービスは仕事の効率化に役立っています。
社会的に訴訟リスクが増えている日本では、今後伸びていくリーガルテックのサービスだと言えるでしょう。
リーガルリサーチ
リーガルリサーチとは法律問題を解決するために、必要な法令や判例などの情報収集をすることです。
これまでリーガルリサーチを行う場合、官公庁のホームページや書籍・論文を調べるなどアナログな方法がとられていました。
しかし、無数にある論文や書籍から該当するものを見つけるのには時間を要します。さらに判例は年々増えていくので、情報収集にかかる時間は増すばかりです。
リーガルテックによるリーガルリサーチは、書籍や判例をまとめて検索できるサービスです。知りたい用語を検索すれば、関連するページを一覧で表示するので情報収集にかかる時間を大幅に短縮可能です。
まとめ
行政では脱判子が推進されていますが、大企業や大学なども続々と押印を廃止すると発表しています。
行政主導でクールビズが完全に定着したように、脱判子の流れも定着していくでしょう。
同じようにリーガルテックも、急速な成長が予想されています。
アメリカと比べるとまだまだ普及していませんが、日本でも70以上のサービスが開始されています。
法律は全ての人の生活に関わるものです。リーガルテックの普及により、法律関係の仕事に携わっていない人の生活もより豊かなものになるでしょう。