お金の歴史や移り変わりを解説!世界初の貨幣はどこの国が作った?
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みなさんは産まれた時から、10円玉や100円玉などの通貨を使用しています。
商品を買うには通貨で支払うのが当たり前でしたが、最近はキャッシュレス決済も盛んになってきました。
このようにお金は常に進化しています。
お金の歴史を知ることで、現在から未来へどのように変わっていくかが予想できるでしょう。
そこで今回は、お金の役割や歴史、新しい概念の「暗号資産(仮想通貨)」について解説します。
日常で使える豆知識がたくさんあるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。
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お金の役割とは?
みなさんは「お金の役割」を考えたことがありますか。
多くの方は、商品やサービスと交換するものと思っているのではないでしょうか。
商品やサービスとの交換機能もお金の大切な役割の一つです。
しかし、お金の機能はそれだけではありません。
ここでは、お金が持つ3つの機能について解説します。
①価値の保存機能
お金の一つ目の機能は、「価値の保存機能」です。
お金の名目価値は変化しないので、100円は時間が経っても100円です。
これが100円分の魚や肉だと、時間が経つごとに鮮度が失われ価値が下がります。つまり、100円の価値を保存できないということです。
お金であれば100円は100円のまま保存可能なので、価値を貯めていけます。
②交換機能
お金の2つ目の役割である「交換機能」は、取引をスムーズにしてくれます。
物々交換の時代は、物と物を同じ価値にするのに苦労しました。
相手の欲しがる物を持っていなかったり、持っていても価値が合わないと取引が成立しません。
お金があれば、欲しいものをほしい数量だけ交換できます。
③価値の尺度機能
私たちの周りには、いろいろな商品やサービスがあります。それらはすべて〇〇円と価値(価格)が設定されています。
価値は、お金という「ものさし」があるから設定できるのです。
もしお金という単位が無かったら、
コーヒー1杯は、卵6個と同価値。
卵6個は、魚2匹と同価値。
価値を測るには、何かと何かを毎回比べる必要があります。
お金があれば、
コーヒー1杯は150円、卵3個は75円、魚3匹は225円という風に統一した単位で価値を示せます。
お金の起源と歴史
ここからは、お金が発明された流れと歴史をみていきましょう。
①自給自足の時代
一番初めは集団単位で自給自足をしていたので、他人と交換するという概念はありませんでした。
自分たちで獲ったもので、すべてを賄っていたのです。
自分たちで獲ったものしかないので、もちろん不足するものが出てきます。
どうにかして他人が持っているものが欲しいので、考え出されたのが物々交換です。
②物々交換の時代
相手が持っているものが欲しかったら、自分が持っているものを差し出さなくてはなりません。
しかし、先ほど説明したように、相手が欲しいものでなければ取引が成立しません。
もっと取引をスムーズにさせるために考え出されたのが物品貨幣です。
③物品貨幣の時代
米や布・もみ・砂金など多くの人に価値があるモノと、自分が欲しいものを交換するようになりました。これを物品貨幣といいます。
物品貨幣の登場により、取引はとてもスムーズになりました。
しかし、大量に持ち運ぶのが難しいというデメリットがありました。
④中国で宝貝が使われる
今から3000年ほど前の中国では、貝が物品貨幣として使われていました。
きらきらしてキレイで、昔の中国の人が価値を見出すのが分かりますね。
中国で貝が貨幣として使われていたことから、お金にまつわる漢字には「貝」が多く使われています。
【貨幣・賃金・貯金・売買】など。
⑤鋳造貨幣の時代
紀元前7世紀ころになると、アナトリア半島(現トルコ)で世界初の鋳造硬貨が作られました。
金と銀の合金で作られており、琥珀色をしていました。そのため、エレクトロン(琥珀金)硬貨と名づけられました。
エレクトロン硬貨が発明されるまでは、砂金が物品貨幣として使われていました。しかし、計量に手間がかかることから、スムーズに取引ができるエレクトロン硬貨が作られたと言われています。
日本のお金の歴史
世界のお金の歴史を解説しましたので、ここからは日本のお金の話です。
・日本の鋳造貨幣の歴史
日本で最初の鋳造貨幣は708年に作られた「和同開珎(わどうかいちん)」だとされていました。
しかし最近になり、683年に「富本銭(ふほんせん)」という貨幣が作られていたと分かったのです。
出典:高森町歴史民俗資料館の公式サイト
現在も富本銭の研究は行われていますが、広く流通していた貨幣とする説や、宗教的な儀式だけで使われていた貨幣とする説など、不明点は残されています。
富本銭は、中国の「開元通宝(かいげんつうほう)」を参考にして製造されました。
708年の和同開珎以降、朝廷は958年までに12種類の銅貨を発行しました。
銅貨の発行目的は貨幣の流通量を増やすためなどいくつかありますが、度重なる改鋳により民衆の銭離れが起こりました。
そのため、958年に乾元大宝を発行して以降、朝廷は新しい硬貨の製造を停止しました。
・平安時代は中国から銅銭を輸入していた
その後、平安時代になると中国から貨幣を輸入するようになります。
「永楽通宝(えいらくつうほう)」が特に人気があり、全国で使われていたようです。鋳造の質が悪かったり、欠けているものは、びた銭と言われていました。価値は落ちますが、普通に市中で使われてました。
・戦国時代の貨幣
戦国時代になると、佐渡金山や黒川金山に代表されるように金銀の採掘が発展しました。採掘した金銀で、戦国大名は金貨・銀貨を製造しました。
製造した金貨・銀貨は、海外と貿易をする際の支払いや戦国武将への褒美に使われていたようです。
金貨・銀貨は、庶民には出回らなかったので中国から輸入した銅銭を使用していました。
徳川家康が将軍になると、貨幣を全国統一しました。この時に発行されたのが、慶長金貨・銀貨です。
1670年に中国から輸入した銅銭の使用が禁止され、日本国内で流通する貨幣が統一されました。日本の貨幣制度が完成したということです。
慶長小判
出典:日本マテリアル 公式ホームぺージより
1871年に明治政府が新貨条例を制定し、全国統一の貨幣単位である【円(圓)】を導入しました。
管理通貨制度とお金の歴史
通貨は信用力がなければ、ただの紙と金属です。そのため、どのように価値を保証するかが重要です。
通貨の価値を保証する制度として「金本位制」と「管理通貨制度」があります。
・金本位制
1816年にイギリスで初めて採用された「金をお金の価値の基準」とする制度です。
国が発行した通貨と同じだけの金を保有し、いつでも通貨と金の交換を保証します。保有している金により、通貨の価値が保証されているのです。
通貨の発行量を増やすには、金も追加で確保しなくてはなりません。そのため、簡単に通貨の発行量の調節ができませんでした。
国は通貨の発行量を調整して、インフレ・デフレに対応しなくてはならないので、致命的な弱点と言えるでしょう。
1929年に世界恐慌が起こり、世界的に通貨への不安感が増して、各国で金の流出が発生しました。
この事態に対応するため、金本位制を採用していた各国は「管理通貨制度」への転換を余儀なくされました。
・管理通貨制度
管理通貨制度は、金の保有量に左右されず国が自由に通貨を発行できる制度です。現在、ほとんどの国は管理通貨制度を採用しています。
自由に通貨を発行できるといっても通貨の発行が多すぎればインフレに、少なすぎればデフレになってしまいます。そのため、国の金融政策により価値を安定させることが大切です。
暗号資産(仮想通貨)は新しいお金の形態?
お金は現在でも進化を続けています。
近年では、電子マネーによりキャッシュレス決済が主流になったり、暗号資産(仮想通貨)が登場したりしました。
ここでは、暗号資産(仮想通貨)について簡単に解説します。
・暗号資産(仮想通貨)と法定通貨の違いは?
暗号資産と、円やドルなどの法定通貨との違いは、主に3点あります。
■暗号資産は物理的な実態が存在しない
法定通貨は10円玉や100円玉・1000円札のように実態が存在します。これに対し暗号資産は、電子データのみです。
電子データのみなので、インターネット上で世界中に自由に送金できるメリットがあります。
■中央管理者がいない
法定通貨は国により価値が保証されています。
そのため、財政基盤が整った国の通貨は価値が高くなり、不安定な国の通貨は価値が低くなります。
これに対し暗号資産は、発行主体や中央管理者がいないため、需要と供給により価値が決まります。価値が乱高下することが多く、リスクが高くなっています。
■暗号資産から法定通貨への換金が可能
Suicaやnanacoなどの電子マネーは、基本的に法定通貨へ換金できません。
しかし、暗号通貨はビットコインから円などその時点の価格で、法定通貨へと換金できます。
暗号資産はまだまだ発展途上なので、通貨の代わりに保有するにはリスクがあります。
しかし、将来的に価格が安定して普及が進めば、決済手段としても広がっていくでしょう。
もしかすると、100円玉や1000円札などの通貨は古臭くなり、暗号資産を使うのが普通の世の中になるかもしれません。
ちなみに、暗号資産と仮想通貨は同じものです。
仮想通貨という名称だと、法定通貨と混同される恐れがあるとして、世界的に暗号資産という名前を使うようになりました。
まとめ
普段から何気なく使っているお金ですが、歴史を辿ってみると常に進化していることが分かります。
現在の管理通貨制度におけるお金は、とてもスムーズに取引ができて便利なものです。
しかし、グローバル化が進むにつれて為替の問題など、手間がかかることも出てきました。
このように使う人が不便を感じると、常に進化してきたのがお金です。
今後もお金の概念や形態は変わっていくでしょう。