銀行の仕組みや役割を分かりやすく解説!日本銀行との関係も図解で紹介
コラム

銀行は多くの人が利用している、なくてはならないものです。
しかし、銀行の仕組みや重要な役割を知らない人も多くいます。
この記事では、銀行が担っている業務や、日本銀行との関係などを解説します。
金融における銀行の重要性を理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

目次
銀行の役割と仕組み
銀行には、お金を預かったり、お金を貸し出したりする役割があります。
ここでは、銀行の役割と仕組みを解説します。
お金を預かる
銀行は、個人や法人などのお金を預金として預かります。
預けたお金には預金利子がつくため、預入期間が長いほどお金が増えていきます。金利は金融機関や預金の種類により異なるため、複数を比較して、預け先を検討することが大切です。
銀行にお金を預けるメリットは金利だけでなく、自宅でお金を保管するリスクを減らせることにもあります。
自宅で多額の現金を保管するには、警備を厳重にする必要があり、コストがかかります。しかし、銀行に預けておけば自分で管理する必要がないので、コストの削減に繋がるでしょう。
お金を貸す
銀行はお金を預かるだけでなく、お金を貸し出す役割もあります。
個人や法人から預かったお金を、資金が必要な人に貸し出します。銀行がなければ、自分でお金を貸してくれる人を探す必要があり、多くの時間を取られてしまいます。
ただし、銀行は誰にでも資金を貸し出すわけではありません。お金が返ってこなければ、銀行が損をしてしまうので、しっかりと返済できる人だけに貸し出します。
銀行はボランティアでお金を貸すのではなく、借りた人から利息を受け取ります。
利子の差額で儲けを出している
ここまでで説明したように、銀行の大きな役割は「お金を預かる」と「お金を貸す」の2つです。
お金を預かる際と、貸し出す際のどちらにも金利が発生するため、銀行はその差額で利益を出しています。
例えば、銀行が100万円を利率1%で預かり、利息を1万円支払ったとします。
銀行がお金を貸し出す際は、100万円を利率3%で貸し出せば利息は3万円です。この差額の2万円が銀行の利益となります。
為替業務も銀行の重要な役割
銀行は、お金を預かり・貸し出すことだけでなく、為替業務も重要な役割です。
銀行の為替業務とは、現金のやり取りではなく、銀行口座間で資金の移動をすることです。為替業務があることで、現金の受け渡しの手間が減り、取り引きがスムーズに進みます。為替業務は、以下のようなシーンで活用されています。
- 水道光熱費など公共料金の引き落とし
- 遠方の取引先への代金振り込み
- インターネット通販での代金振り込み
為替業務は、日常生活に欠かせない業務のひとつです。「預金業務」「貸出業務」と並んで、「為替業務」は銀行の3大業務と呼ばれています。
直接金融と間接金融
銀行のように利用者からお金を借りて、お金が必要な人に融資することを「間接金融」といいます。
間接金融の特徴は、お金を預けた人とお金を借りた人が直接関わることがない点です。お金を預けた人は、銀行が誰に資金を貸し出したのか把握できません。しかし、融資先が破綻したとしても、預金者のお金は守られます。
間接金融に対して、企業や国が銀行を介さずに、社債や国債・株式を発行して資金調達する方法を「直接金融」といいます。
直接金融の特徴は、お金を投資した人は、自分で投資の責任を負うという点です。投資した企業が倒産して、お金が戻ってこなかったとしても自己責任になります。
間接金融は直接金融に比べて、大きなリターンを望めますが、リスクも高いので注意しましょう。
銀行が倒産するとどうなる?
銀行が倒産すると、「預けていたお金が無くなるのではないか?」と心配する人がいます。
しかし、普通預金や定期預金など利息の付く預金は、元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。
ただし、外貨預金や譲渡性預金などは、保護の対象外なので注意してください。
また、決済用預金(当座預金・りそくの付かない普通預金など)は全額保護されます。
銀行が破綻するわけがないと思うかもしれませんが、実際に以下の銀行が倒産しています。
- 阪和銀行(1996年)
- 北海道拓殖銀行(1997年)
- 京都共栄銀行(1999年)
- 徳陽シティ銀行(1999年)
- 石川銀行(2000年)
銀行は倒産しても国有化され、その後、他の金融機関が業務を引き継ぐケースが多いです。そのため、預金は全額戻ってくる事例が多いですが、リスクに備えることが大切です。
ひとつの銀行にすべてのお金を預けるのではなく、複数の銀行に分けるといいでしょう。
日本銀行の役割と仕組み
銀行の仕組みを知るには、民間の銀行だけでなく、日本銀行についても知る必要があります。
ここでは、日本銀行の役割と仕組みについて解説します。
紙幣の発行
日本銀行は、日本で唯一の紙幣(日本銀行券)を発行できる銀行です。
日本銀行が発行した紙幣は、民間の銀行が日本銀行の口座から引き出すことにより国内に流通します。
また、民間の銀行がしばらく使用しない紙幣を、日本銀行の当座預金に預けるケースもあります。紙幣が日本銀行に戻ってくることを「銀行券の還収」といいます。
日本銀行に戻ってきた紙幣は、日本銀行が枚数をチェックして、偽造や変造されていないか真偽鑑定をします。
真偽鑑定の結果、問題ないと判断された紙幣は、ふたたび民間銀行に流通していきます。
銀行の銀行
民間銀行は日本銀行に、預金口座を持っています。
民間銀行は銀行同士で資金の貸し借りをおこなう際に、日本銀行の預金口座を利用します。また、個人が自分の銀行口座から、他行の銀行口座へ振り込みをする際も、民間銀行同士の資金決済に日本銀行の口座が使われるのです。
資金決済以外にも、民間銀行が急に大量の資金が必要になったときは、日本銀行からお金を借りることもあります。
この日本銀行と民間銀行を繋ぐシステムは、「日銀ネット」と呼ばれ、日本の金融にとってなくてはならないものです。
政府の銀行
日本銀行は、政府の銀行としての役割もあります。日本銀行法や会計法などに基づき、国庫金に関する事務をおこなっているためです。
具体的には、以下のような事務を処理しています。
- 税金や社会保険料の受け入れ
- 年金や公共事業費の支払い
- 国債の発行や国債元利金の支払い
- 為替介入事務
- 交通反則金の受け入れ
政府の銀行としての業務は膨大な量があるため、オンライン化やAI化などにより業務効率化を進めています。
まとめ
銀行の主な役割には、「お金を預かる」「お金を貸す」「為替業務」の3つがあります。
銀行は利用者から預かったお金を、資金が必要な人に貸し出します。預金者へ支払う利息と、借りた人から受け取る利息の差額で収益を上げています。
為替業務とは、現金のやり取りではなく、銀行口座間での資金のやり取りです。為替業務により、取引の決済がスムーズになり、経済が円滑に回っています。
お金を預けていた銀行が倒産すると、預金がすべてなくなるわけでなく、元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。
近年は金融の自由化により、銀行の役割や業務が増えています。三大業務の他に、銀行がどのような商品を扱っているか調べてみてください。