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企業価値担保権とは?概要や担保の具体例を分かりやすく解説

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企業価値担保権とは?概要や担保の具体例を分かりやすく解説

日本経済を成長させる新たな融資の形として、企業価値担保権が創設されました。

しかし、まだ馴染みが薄く、内容をよく知らない人も多いです。

この記事では、企業価値担保権の概要や、どのような資産が担保となるのかを具体的に解説します。

既存の融資では審査に通らなくて悩んでいる経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

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企業価値担保権とは

企業価値担保権とは、融資の際に企業の持つ無形資産を含む、企業全体を担保とする制度です。2024年6月に成立した「事業性融資の推進等に関する法律案」で創設されました。

これまで、金融機関が企業の審査をする場合、建物や土地・設備などの有形資産が担保となっていました。

企業価値担保権が設定されたことにより、以下の無形資産も担保権の対象となったのです。

  • 企業のブランドや知名度
  • 事業のノウハウ
  • 特許
  • 顧客基盤
  • サプライチェーンや会社構造

無形資産が担保権の対象になると、有形資産を持たない企業であっても、融資を受けやすくなります。

企業価値担保権の活用が進めば、スタートアップ企業が事業を進めやすくなり、日本経済にも好影響をもたらすでしょう。

企業価値担保権の狙い

企業価値担保権は、さまざまな企業が融資を受けられるようになり、日本経済が成長することを狙って創設されました。ここでは、企業価値担保権の狙いを解説します。

物的担保に依存せず企業の将来性に着目する

これまで融資の担保は、建物や土地などの物的担保がメインでした。しかし、企業価値担保権では、事業のノウハウや顧客基盤などの無形資産も担保として評価されます。

無形資産を評価することは、企業の将来性に着目することになります。現在は有形資産に乏しい企業であっても、将来性が評価されて、融資を受けられる可能性が上がるでしょう。

貸し手の借り手に対する関心が高まる

企業価値担保権は、貸し手である金融機関にもメリットがあります。

金融機関は借り手である企業を、有形・無形資産を問わずに評価して、総合的な評価ができるためです。

企業を評価する過程で、事業の戦略や成長目標を理解でき、借り手の企業との関係が深まるでしょう。

また、お互いの信頼関係が強まり、強力なパートナーとなって、ウィンウィンの関係となるはずです。

企業価値担保権の仕組み

企業価値担保権には、以下の三者が存在します。

  • 借り手:融資を受ける企業、株式会社もしくは持ち分会社
  • 貸し手:金融機関
  • 担保権者:担保を設定できる主体(企業価値担保権信託会社)

企業価値担保権において、担保を設定できるのは「企業価値担保権信託会社」のみです。企業価値担保権の乱用を防ぐために設置されます。銀行であれば簡易な手続きで、企業価値担保権信託会社になれます。

融資を受ける借り手は、担保権者と信託契約を結びます。信託契約を結ぶと、企業全体が担保となります。

信託契約が結ばれたら、貸し手は融資を実行します。担保権者と貸し手は一致することも認められているため、金融機関が両方とも担うことも可能です。

企業価値担保権が活用されるケース

企業価値担保権は、スタートアップ企業や、経営者の事業承継の際に活用されます。

ここでは、企業価値担保権が活用されるケースについて解説します。

スタートアップ

スタートアップとは、新しいビジネスモデルにより社会に新たな価値を提供して、急成長を目指す企業です。

スタートアップは事業を軌道に乗せるために、多額の研究開発費や広告宣伝費などが必要になります。しかし、実績に乏しく、有形資産の少ないスタートアップが融資を受けるのには、厳しい状況が続いていました。

しかし、企業価値担保権であれば、革新的なビジネスモデルや将来性が評価され、融資を受けられる可能性が上がります。

事業承継

企業価値担保権は、事業承継にも役立ちます。

企業が融資を受ける際は、経営者保証を求められることが多いです。経営者保証とは企業が融資を返済できなくなった場合に、経営者が代わって返済する義務を負うことです。

経営者保証を嫌う人が多いため、事業継承ができずに、廃業する企業が多くあります。

企業価値担保権で企業の価値が認められると、経営者保証が不要となる可能性が高まります。経営者保証がないのであれば、事業継承をする人も増えるでしょう。

また、経営者保証には、経営者による強気の事業展開や、早い段階での事業再生を妨げる要因になっていました。企業価値担保権により、これらの課題が解決されると、日本経済に大きく寄与することになるはずです。

事業再生

企業が業績不振となり事業再生をする際に、不採算部門の有形資産を処分する必要が出てきます。そのため、有形資産が大きく減少して、事業再生の妨げになるケースがありました。

企業価値担保権では、事業を存続させる価値があれば、有形資産を売却する必要はありません。

有形資産を残しながら不採算部門の再生を目指せるので、事業再生が円滑に進むでしょう。

まとめ

企業価値担保権とは、企業の有形資産だけでなく、無形資産も含めて担保とする制度です。2024年6月に成立した「事業性融資の推進等に関する法律案」で創設されました。

無形資産には、企業の持つノウハウやブランド・特許などが対象となります。

企業価値担保権が創設された狙いは、物的店舗に依存せず、企業の将来性に着目して融資ができるようになることです。

また、貸し手が借り手の事業内容を深く把握することで、一緒に企業価値の向上を目指せます。これらの理由により、企業価値担保権が広く利用されるようになれば、日本経済の成長に寄与するでしょう。

企業価値担保権は、有形資産の少ないスタートアップや、事業継承・事業再生などに活用できます。

既存の融資ではなかなか審査に通らない経営者は、企業価値担保権を活用して、新たな事業にチャレンジしてください。

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