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ABL・売掛債権担保融資とは?ファクタリングとの違いも解説

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ABL・売掛債権担保融資とは?ファクタリングとの違いも解説

建物や土地などの不動産を保有していなくても、ABLを活用すれば融資を受けやすくなります。

ABLを活用した資金調達額は年々増えていますが、まだまだ知名度は低いのが現状です。

この記事では、ABLの特徴や、ABLでの資金調達に向いている企業を紹介します。

他の方法で資金調達ができなくても、ABLであれば融資を受けられる可能性があるため、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

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ABL(動産・売掛債権担保融資)とは

ABLとは、「Asset Based Lending」の頭文字を取った言葉で、日本語では動産・債権担保融資を意味します。

一般的に融資を受ける際は、土地や建物などの不動産が担保とされます。

企業が保有する在庫や設備などの動産、売掛金を担保とするのがABLです。

担保となった動産や債権は課しての名義になりますが、在庫の販売や設備の使用は可能なため、事業運営を続けられます。

日本ではそれほど知名度が高くありませんが、アメリカでは以前から利用されている融資です。

アメリカでのABLの融資残高は50兆円規模となり、経済に大きく貢献しています。

日本では、2011年に日本銀行がABLを実施する金融機関向けに低利融資を導入してから、少しずつABLの概念が広がっています。

ABLとファクタリングの違い

ファクタリングは、売掛債権を活用して資金調達をする方法です。

売掛債権を活用する点はABLと似ていますが、以下のような違いがあります。

  • ABL:動産や売掛債権を担保にして融資を受ける
  • ファクタリング:売掛債権を買い取ってもらい、期日前に現金化する

ファクタリング業者は、貸金業者ではないため融資にはなりません。そのため、ファクタリングの支払いは一括が基本で、分割にすると融資とみなされる可能性があります。

ABLは融資であり、審査から着金まで1か月程度の期間が必要です。

それぞれに特徴があるため、使い分けることが大切です。

ABLの特徴

ABLは、不動産を持っていない企業でも融資を受けられる可能性がありますが、定期的な報告義務が課せられます。

ここでは、ABLの特徴について解説します。

不動産を持っていない企業でも融資を受けられる

一般的な融資は不動産を担保とするため、不動産を持っていない企業は融資を受けられないケースがあります。

ABLは、在庫や売掛債権が担保となり、不動産を持っていない企業でも、融資を受けられる可能性が増えるでしょう。

業績に関する報告が必要

ABLで融資を受けると、借り手は定期的に業績や資産残高の報告をする必要があります。

業績が悪化すると企業価値が下落して、担保の価値が下がってしまうためです。

例えば、売上が減少すると、売掛金の残高が減ってしまい、担保としての価値も減ります。

貸し手は、借り手の企業の業績を把握する必要があるため、定期的な業績報告が必要です。

定期報告は手間に感じるかもしれませんが、事業を深く理解してもらい、双方に信頼関係が生まれるメリットがあります。

ABLに向いている企業

ABLは、流動資産を多く保有していて、売上が毎年伸びている企業だとスムーズに融資を受けられます。

ここでは、ABLに向いている企業について解説します。

在庫や売掛金などの流動資産を多く保有している企業

ABLでは、在庫や売掛金などの流動資産を多く保有している企業が有利です。

ABLは流動資産が担保となるため、流動資産の金額が大きければ担保価値が高いためです。

在庫以外にも、原材料や家畜など、幅広い資産を担保が対象になります。

売上の伸びが著しい企業

創業してからの期間が短く、売上が急成長している企業はABLに向いています。

急成長している企業は、同時に売掛金も増えていて、担保となる資産が増えるためです。

また、成長企業は資金調達ニーズも高く、ABLの融資スキームに最適といえるでしょう。

設備などの固定資産を多く保有する企業

ABLでは、流動資産だけでなく機械設備も担保の対象となります。

機械設備への投資金額が多い運輸業や飲食・宿泊業は、機械設備の保有金額が高くなる傾向にあり、ABLに向いています。

ABLを受けるまでの流れ

実際にABLを利用して融資を受ける際の流れは、以下の通りです。

  1. 金融機関に相談する
  2. 金融機関からの審査を受ける
  3. 担保の資産評価を受ける
  4. 資産の登記をおこなう
  5. 融資実行

一般的な融資と異なる点は、「③担保の資産評価を受ける」において、在庫や売掛金などの資産の調査があることです。

一般的な審査では、財務諸表や経営者との面談により審査されますが、ABLでは企業訪問なども実施してより詳しい審査が必要です。

また、融資が決定した際には、担保となる資産の登記をおこないます。資産の登記は、第三者に対して担保となることを主張する役割があります。

在庫などの動産は「動産譲渡登記」、売掛金などの債権は「債権譲渡登記」をおこないます。

譲渡登記をすると法律上は貸し手に所有権が移転されます。しかし、実際は借り手が占有している状態であり、在庫の販売や生産活動に利用可能です。

ABLを受けているときに業績が悪化した場合の対応

ABLを受けている企業の業績が悪化、または悪化の兆候がある場合は、すぐに貸し手への情報共有をする必要があります。

担保となっている在庫や売掛金などの残高は、業績に大きく関わるためです。

ただし、業績についての懸念事項が発生しても、すぐに担保を処分されるわけではありません。

貸し手である金融機関からのアドバイスにより、経営改革をおこなうのが一般的です。

また、融資条件が変更されることもあります。

借り手が報告義務を怠り、懸念事項を伝えなかった場合、在庫がすぐに処分されるなどの対応が検討されます。

ABLは一般的な融資よりも貸し手との関係が密接になるため、信頼関係が必要です。

融資を受ける時の約束は必ず守り、一緒に事業を運営する気持ちで協力していきましょう。

まとめ

ABLとは、動産・債権担保融資のことで、在庫や売掛金を担保として融資を受けるスキームです。

一般的な融資では不動産を担保とすることが多いですが、ABLでは不動産を保有していない企業でも融資を受けやすくなります。

特に、売掛金や在庫の金額が多い企業や、固定資産を多く保有する企業に向いています。

ABLでの融資を申し込むと、貸し手から資産を評価するための審査があります。自社の事業を深く説明するため、貸し手との関係が密接になるのがABLの特徴です。

資産の残高は、業績により大きく変動します。借り手には業績や資産残高の定期的な報告義務が課せられるため、忘れずに対応しましょう。

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