分割払いの売上を仕訳する方法!計上漏れを防ぐ方法も紹介
コラム
分割払いは、手持ち資金が少なくても、高額な商品を購入できる便利な決済方法です。
クレジットカードなどで分割払いを利用する人は多いですが、仕訳の方法が分からない人も多くいます。
この記事では、分割払いの売上を仕訳する方法を、販売者・購入者の両面から解説します。
仕訳の計上漏れを防ぐ方法も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。
目次
分割払い(割賦販売)とは
分割払いとは、商品やサービスを購入する際に、代金を複数回に分けて決済する方法です。
クレジットカードやショッピングローンなど、さまざまな決済サービスが分割払いを提供しています。
例えば、旅行代金5万円を、5回に分けて1万円ずつ支払うと分割払いになります。
分割払いは1回の支払金額が少なくなるため、手持ちの資金が少なくても購入できることがメリットです。
ただし、複数の買い物で分割払いをすると、積もり積もって支払金額が多くなるため注意が必要です。
また、金利や手数料が発生するため、分割払いを利用する際は計画的におこないましょう。
分割払い(割賦販売)の売上の仕訳
分割払いで商品を購入した場合、一括払いとは異なる会計処理が必要です。
分割払いは、会計用語で「割賦販売」といいます。
割賦販売をした際の仕訳は、販売基準で売上を認識します。
販売基準とは、商品を引き渡した時点で、収益を認識する方法です。
商品引き渡し時の仕訳
100,000円の商品を10回の分割払いで売り上げた際は、以下のように仕訳をします。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
割賦売掛金 | 100,000 | 割賦売上 | 100,000 | 10回払い |
商品の代金は受け取っていませんが、商品を引き渡した時点で100,000円の収益を認識します。
考え方としては、一般的な「売掛金」「売上」と同じです。
分割払いであると分かるように、勘定科目に「割賦」が付いています。
代金を回収した時の仕訳
続いては、分割払いで売り上げた商品の、代金が振り込まれた際の仕訳です。
代金が振り込まれるたびに、割賦売掛金を回収した仕訳をします。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
現金預金 | 10,000 | 割賦売掛金 | 10,000 | 〇回目 |
代金が振り込まれたため、割賦売掛金が減少しています。
摘要欄に「〇回目」や誰からの入金なのか記載しておくと、残高の管理がしやすくなるでしょう。
分割払い(割賦販売)で購入した側の仕訳
分割払いで購入した場合は、「未払金」の勘定科目を使用します。
購入したものは、10万円未満であれば「消耗品費」、10万円以上であれば「備品」で仕訳をしてください。
商品受け渡し時の仕訳
50,000円のパソコンを、10回の分割払いで購入した際の仕訳は以下の通りです。
金額が10万円以下なので、消耗品費で処理します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 50,000 | 未払金 | 50,000 | 10回払い |
100,000円のパソコンを、10回払いで購入した際の仕訳は以下の通りです。
金額が10万円以上なので、備品で処理します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
備品 | 100,000 | 未払金 | 100,000 | 10回払い |
代金を支払う時の仕訳
分割払いの代金を支払った際は、未払金を取り崩す仕訳をします。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
未払金 | 10,000 | 現金預金 | 10,000 | 〇回目 |
未払金は、1年以内に全額を支払い終える場合に使用する勘定科目です。
分割払いの支払いが1年以上に渡る場合、ワンイヤールールが適用され、未払金ではなく「長期未払金」を使用します。
分割払いの収益認識について
平成30年に税法の改正があり、収益認識の基準である「割賦基準」が廃止されました。
割賦基準とは、代金を回収するたびに収益を認識する方法です。
そのため、分割払いで商品を引き渡した際は、売上を計上せずに以下のように仕訳をします。
借方 | 貸方 | 適用 | ||
割賦販売未収金 | 100,000 | 割賦仮売上 | 100,000 | 10回払い |
割賦仮売上とは、割賦販売したことの備忘録的な勘定科目です。割賦仮売上では収益は認識されません。
そのため、分割払いで販売した商品の売上が完了するには、すべての分割払いが終わった時点となっていました。
この割賦基準は廃止されて、商品を受け渡した時点ですべての収益を認識する「販売基準」となったので注意してください。
分割払いの売上でミスを防ぐ方法
分割払いで売り上げた際に、入金の会計処理を忘れて、計上漏れとなるケースは多いです。
ここでは、分割払いの売上でミスを防ぐ方法を解説します。
仕訳の摘要欄を活用する
入金時の仕訳をする際に、摘要欄に「〇回目」と記載しておけば、漏れが発生しても何回目が漏れているのかすぐに判断できます。
全部で何回の分割なのか分かるように、「〇回目/全10回」などと記載するのもおすすめです。
また、分割払いでの売上が増えてくると、仕訳だけでは誰からの入金なのか判断できなくなる可能性があります。
分割払いでの売上が増えたら、「〇回目/全10回 佐藤様」という形で、個人名や会社名を付け加えるといいでしょう。
また、エクセルで分割払いの管理表を作成して、分割払いの件数や顧客ごとの管理をしてください。
分割PAYを導入する
一括払いと比べると、分割払いは事務作業が増えてしまいます。
その結果、社内のリソースが足りなくなり、計上漏れなどのミスが出てしまいます。
社内の事務作業を減らすには、クラウド型の分割払いシステム「分割PAY」を導入するのがおすすめです。
分割PAYは、クレジットカードを使わずに、自社で分割払いを提供するシステムです。
システム上で分割払い明細書の発行や、債権債務管理ができるため、事務作業の手間を大幅に削減できるでしょう。
また、クラウドで売上や未収金の確認ができるため、移動中でも最新のデータを把握可能です。
より詳しい内容を知りたい方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡をください。
まとめ
分割払いとは、クレジットカードやショッピングローンを利用して、商品の代金を2回以上に分けて決済する方法です。
毎月の支払金額が少なくなるため、手持ち資金が少なくても商品を購入できるメリットがあります。
しかし、無計画に利用すると、金利や手数料がかさんでしまうため注意が必要です。
分割払いの会計処理は、代金の支払いがあるたびに仕訳をする必要があります。長期間にわたり処理するため、漏れがないように気をつけてください。
分割払いの売上でミスを防ぐには、仕訳の摘要欄の活用が大切です。摘要欄に「〇回目/全10回払い」など漏れが発生しても、すぐに対応できるようにするのがおすすめです。
また、分割払いは社内の事務作業が増えてしまうため、分割PAYを導入して、請求書発行などの手間を減らすことが重要です。