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金融サービスとAIの今後を分かりやすく解説

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金融サービスとAIの今後を分かりやすく解説

これまで金融業界は、AIなどの最新技術を取り入れづらい業界だとされていました。

しかし、近年では金融業界でも、AIがさまざまな業務に活用されています。

この記事では、AIを活用している業務の具体例や、なぜ金融業界にAIが必要なのか解説します。

業務にAIを取り入れるための課題についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事は20年以上金融サービスを提供してきたソモ㈱が執筆しています。

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金融分野でAIが使われている領域

融資の審査や不正利用の検知など、AIはさまざまな業務で使用されています。

ここでは、金融分野でAIが使用される領域について解説します。

各種の審査

金融分野でのAIは、日常的に各種の審査で使用されています。

金融業務では融資の審査やクレジットカードの審査など、さまざまなデータから顧客を判断する必要があるためです。

金融分野における審査は、基本的に過去のデータをもとに判断します。そのため、イレギュラーな審査は少なく、AIが活躍できる業務とされています。

不正利用の検知

金融業界のデジタル化が進むにつれて、インターネット上でのショッピングや契約などが身近になりました。

しかし、取引の急増に伴い不正利用が増えたため、従来の不正検知システムでは不十分となってしまいました。

そのため、巧妙化する不正利用を検知するために、AIが活用され始めたのです。

日本においては、キャッシュレス決済の普及が急速に進んでいます。総務省が発表した2023年のキャッシュレス決済の金額は126.7兆円です。

この膨大な金額を人間の目で不正を検知するのは不可能であり、AIの活用が必須の業務といえるでしょう。

日本のキャッシュレス決済額および比率の推移

出典:総務省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました

M&A

M&Aは大企業同士の合併だけではなく、中小企業間でも頻繁におこなわれています。

日本では経営者の高齢化が問題となっていて、中小企業では後継者が見つからず黒字倒産する例もあるためです。

M&Aの仲介は、投資銀行や仲介業者がおこなっています。しかし、無数にある中小企業の中からマッチングさせるのは容易ではありません。

AIを活用すれば、M&Aを希望している企業の財務データや市場や過去のデータから、相性の良い企業を抽出可能です。

投資アドバイス

AIは株式や債券など金融投資のアドバイスができます。

プロのトレーダーは為替や原油・個々の企業の業績など、さまざまなデータを分析して投資をおこなっています。

AIを活用すれば、人間よりも膨大なデータの分析ができるため、市場分析の精度を向上させられます。

また、AIは過去の市場動向を学習して、今後のトレンドの予測も可能です。

iDeCoや新NISAにより日本人の投資人口が増えているため、AIによる投資アドバイスを活用する人も増加するでしょう。

金融業界がAIを必要とする理由

金融業界は物価高騰による支店の維持管理や、低金利による収益の減少により厳しい状況に立たされています。

ここでは、金融業界がAIを必要とする理由を解説します。

支店の維持管理が負担になっている

銀行や証券会社を運営するには多くの費用が発生しますが、その中でも負担となっているのが支店の運営費です。

銀行や証券会社の支店は、駅前や街の中心部などの一等地が求められています。また、来客対応スペースだけでなく、金庫や書類を保管するスペースなどある程度の面積も必要です。

支店の運営費用の負担を減らすために、AIで業務効率化をおこない、人件費の削減を試みています。

金利が低く利益が確保できない

銀行は融資により金利を得て収益を獲得しています。しかし、長年の低金利政策により、銀行の利益は減少してきました。

長く続く低金利状態でも事業を継続するために、銀行はAIによる業務効率化が必要とされていました。

サイバーセキュリティ対策

金融庁は金融機関に対して、欧米並みのサイバーセキュリティ対策を求めています。

しかし、セキュリティ対策には多額の費用がかかり、中小規模の金融機関では満足な対策ができていないのが現状です。

サイバー攻撃を受けてしまうと、信用が第一の金融機関にとって大きな損害となります。

少しでもサイバーセキュリティ対策に回す資金を捻出するために、AIによる業務効率化が求められています。

金融業界で活用されるAIの具体例

ここでは、金融業界で実際に活用されるAIについて解説します。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、AIが話題になってきた早い段階から導入している銀行です。

例えば、以下のような業務でAIを活用しています。

  • アイデア出し
  • アンケートの分析
  • 手続きマニュアルの作成
  • 文章の校正

三菱UFJ銀行では、AIを活用して生み出された時間を、より付加価値の高いコア業務に使っています。

また、AIを活用するための勉強会やワークシップも開催していて、銀行全体としてAIを推進しています。

大和証券

大和証券では、営業員を支援するためにAIを活用しています。

これまで社内に蓄積された顧客データや取引情報・マーケット情報を活用しきれていなかったためです。

AIにより顧客の保有資産や取引情報を分析することで、営業員の支援をしています。

営業員には毎朝、AIによる分析により、さまざまな情報が届けられます。例えば、本日連絡するべき顧客や連絡内容などが指示されます。

AIの分析結果をもとに提案をした場合の成約率は、AIを活用しなかった場合の2.7倍となっています。

その他にも、顧客の離脱率が減少するなど、さまざまな成果を上げています。

ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行では、AIの画像認識機能を利用して、特殊詐欺の防止に取り組んでいます。

特殊詐欺の中には、携帯電話で通話をしながら、ATMから振込を指示することがあります。

防犯カメラなどの映像をAIが解析して、利用者が携帯電話を使用していると判断すると、画面への警告表示や警告音を鳴らして注意喚起します。

特殊詐欺の手口は常に変化し巧妙化することから、警察庁やセキュリティ会社と協力しながら、継続的な防止策を実施していくとのことです。

金融業界がAIを活用するための課題

金融業界には古いシステムが残っていて、AIを利用する人の知識も不足しています。

ここでは、金融業界がAIを活用するための課題を解説します。

古いシステムが残っている

金融業界は歴史が深いため、レガシーシステムと呼ばれる昔ながらのITシステムが残っています。このレガシーシステムにより、金融業界のDX化が進まず、非効率な運営をしている企業が多く残っています。

レガシーシステムとAIが連携できなければ、システムをすべて入れ替える必要があります。しかし、システムの入れ替えには多額の費用や、現場への周知・教育が必要です。

多くの費用や手間をかけてAIを導入する企業は少なく、表面的にしかAIを活用できていないのが実情です。

AIを利用するための知識が不足している

金融業界の企業がAIを活用するには、AIを導入するだけでなく、知識を持った人材が必要です。AIを活用するために必要な人材は、以下の通りです。

  • さまざまなAIの特徴を把握してビジネスに活用できる人材
  • AIの開発やメンテナンスができる人材

どちらも高いレベルの知識や技術が必要であり、一朝一夕に配置できるものではありません。

本格的にAIを導入するのであれば、早い段階から人材の育成が不可欠です。

まとめ

金融業界では、各種の審査や不正利用の検知など、さまざまな分野でAIが活用されています。

金融業界は支店の維持管理費が多額になり、低金利の影響で収益も減少しています。そのため、AIにより業務効率化を図り、少しでも余計な経費を減らそうとしているのです。

例えば、三菱UFJ銀行では、アイデア出しやマニュアルの作成などにAIを活用しています。また、ゆうちょ銀行ではAIの画像解析機能を利用して、特殊詐欺の防止をしています。

金融業界ではレガシーシステムと呼ばれる古いシステムが残っていて、まだまだAIの活用やDX化が十分ではありません。

AIを活用するには、多様なAIをビジネスに組み込める人材や、開発・メンテナンスできる人材が必要です。高度な知識や技術が必要とされ、一朝一夕には配置できないため、早い段階から人材育成・確保をしましょう。

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